「ミナキくんっ」


「!?」


花梨がいきなり抱きついてきた。


「私、ミナキくんのこともっと大好きになった!

誘った時ね、「ガキ臭いから無理」って断られると思ったの!

でも、ミナキくん「行こう」って言ってくれて本当に嬉しかった!

それにミナキくんも動物園好きって言ってくれて、本当に本当に嬉しかったよ!

いつものかっこいいミナキくんも好きだけど、今日のかわいいミナキくんも好き!

好き!

大好きっ!」


デートと言ったら映画、買い物、ゲーセン、カラオケあたりが定番。


動物園なんて考えたこともなかった。


俺のイメージから動物園なんて考えられないし。


でも正直、映画も買い物もゲーセンもカラオケも……あんまり好きじゃない。


ましてや、好きでもない女と行ったって楽しいわけがない。


だからずっと、デートなんてダルいだけのものだと思ってた。


……でも、違うんだな。


「お前にかわいいとか言われるとムカつく」


「ひゃあ!?」


俺は花梨を抱き寄せた。




「……ありがと」




耳元でそう囁くと、花梨の顔はますます赤く染まった。