「…!?テル…君?」

そこにいたのは逢いたくて逢いたくて想い続けて来たテルだった。

「テル?僕の事ですか?」

「え?」

「うわ〜い、兄ちゃん今日も来てくれたの!?」

「あぁ、診察があったからな。この人達は?」

「僕をお見舞いに来てくれたんだって、遠い所から来たんだって」

「そうか、はじめまして」

「おい、テル何ふざけてんだよ!?半年ぶりだからって冗談きついぜ?」

「だからテルって誰なんです?」

「テル君、私だよ、美里だよ!髪伸ばしたから気がつかなかった?」

「失礼ですがあなた達と会うのは初めてのはず…ですよね?」

「おい、いい加減にしねぇと殴るぞ、てかはずってなんだよ?」

「僕は記憶がないんです」

「!?」

「倒れている所を老夫婦に助けられまして。それ以前の記憶がないんです」


「ところでさっきから僕の事テル、テル言ってますけど?」

「ああ、すまん、お前が俺達の探してる親友にそっくりだったから間違えちまって」

「その人行方不明ってことですか?」

「はい。名前がこの子と同じ大森正輝っていうんでもしかしたらと思って…」

「そして僕にそっくりっていうんですか。会ってみたいですね。」

「あの、どうして倒れてたんですか?」

「それもわからないんです、無理に思い出すつもりもありません」

「すいません、ちょっと図々しかったですよね」

「そんなことありませんよ」

「あの、最後に一つだけ聞かせてください、今どこにいるんですか?」

「僕を助けてくれた、老夫婦の家に住まさせてもらっています。じゃあ僕はこの辺で、あっそうだ名前聞いてませんでしたね」

「美里です。こちらが京子そして」

「近藤一重だ」

「ありがとうございます…それと」

病室から出ようとしたとき少年は振り返らずに足を止め言った。

「一つだけ分かっていることがあるんです。倒れていた時に燃えかけたカードのような物を持っていたんです、それからかろうじて名前だけ読み取れましてね…僕も正輝っていうんです…」

「!?」

そう告げると正輝と名乗った少年は病室から出ていった…