「わふぁ〜やっと終わったか」

「よく言うぜずっと寝てたやつが」

「まぁ世の中所詮ギブ&テイクっしょ」

「意味わかんねぇし」

「まぁカズ、怒らない、怒ら…」

テルが急に立ち止まった。その先には女子がひとりたっていた。小野美里、二年生。同学年はもとい先輩後輩からも相当注目されている女子である。彼女にもまた過酷な運命が待ち受けていようとは誰も知らなかった。

『美里…』

テルの脳裏にあの時の記憶が蘇る。決して忘れることのできないあの記憶が。あの時は桜が舞い散る春の日だった…