「それでよ〜そこで山田のやつが見つかってやがんの」

「マジかよ!?超ウケルな」

「そしたらねぇ、幸治のやつ浮気してたのぉ!!」

「何それ!?ありえなくない?」

皆が皆それぞれの会話を楽しんでいる中、一人机に頭を伏せて眠っている生徒がいる。

大森正輝、高校三年生。みんなからはテルとよ呼ばれているこの少年にこの先どれほど過酷な運命が待ち受けていようとはこの時は誰も、本人でさえ知らなかった。

「おい、テルなに寝てんだよ!」

「…んあ?何だカズかよ」

「大の親友の大森一重様にむかってなんだとはないんじゃないのかな大森正輝君?」

「お前こそ親友の一時の快楽を邪魔するとはいい度胸じゃねぇかカズ」

テルとカズは親が知り合いで家が隣同士、さらに誕生日も一日違いという事から小さい頃からほぼ兄弟同然として育って来たといっても過言ではない。

「お前はいっつも寝てばっかりだな本当に。俺達もう高三だぜ?夏休み勉強とかしたのかよ?」

「そりゃ〜俺も一応しようとはしたけどよぉ、俺は一重君みたいに頭がよろしくないから、机に向かってもやる気がでなくて、気がつけば漫画とかテレビなり見ちゃってるわけよ」

「まぁまぁ、俺が頭いいのは生れつきだからせかさないせかない。しっかしこんなやつに高校入試負けたなんて我ながら情けない…」

「フフフ、いいかカズ、天才とは99%の才能と1%の努力によって構成されているものなねだよ」

「出たな決めゼリフ…お!先生が来たぜ」

「よおし、皆席につけSHR始めるぞ!今日はまず始業式があるから全員速やかに体育館に集合だ、いいな」