それから一週間後、テルはカズに呼び出されて体育館裏に来た。

「お〜い、カズ!どこにいんだよこんなとこに呼び出して、いねぇなら帰るぞ!」

「…あの」

「!?」

背後から聞こえた女の声にテルの体は硬直する。

「は、初めまして。小野美里っていいます」

「…あ、大森正輝です」

思わず敬語になってしまうほど自分でも緊張しているのがわかった。初めて言葉を交わせた喜びが込み上げる。

「あ、あのですね、さっきは初めましてって言ったんですけど実は先輩を見たときからなんか初めて逢った感じがしなくて、それであの…よ、よかったら私と付き合ってください!」

刹那、テルの頭の中は真っ白になり何も考えることが出来なかった。

「…いきなりこんな事言われてもやっぱり迷惑ですよね?」

「あ、いや、そんなことないよ。実は俺も初めて君を見かけたときにすごい懐かしい感じがしててずっと気になってたんだ。その…こんな俺だけどよろしくな」

「やったあ」 「やったあ」

「カズ!?お前まさかはめやがったな!?」

「まぁまぁ、いいじゃないかおかげで付き合えたんだから!」

「京子ちゃん見てたの!?」
「あったり前でしょ!最初から最後までバッチリよ!」

「てかお前らなんで手つないでんだ!?」

「細かいことは気にすんなって」

カズと美里の友達、川島京子はテルと美里をくっつけようと協力しているうちに本人達より先にくっついてしまったのだ。

「細かくねぇだろ」

「んなことより四人でどっか食いに行こうぜ!先行ってるからなテル」

「おい、カズ!ちょっと待てよ……行きやがった…んぢゃあ…俺達も行くか?」

「はい!」

自分のこんな近くで美里が微笑んでいる。テルはまだ心臓の鼓動を抑えることが出来なかった。そしてカズに心から感謝した。