「旬くん…」


気弱な声でそう言うと隣に旬榎が腰掛けた。


「やっぱり来たか。


アイツの言う事、真面目にとるなよ」


「旬くん婚約者がいたんだね」


「親がここに来る時に勝手に決めたんだ」


「政略結婚なんだ…。


でも全部話すって言った時に言ってくれなかっじゃない!!」


「アイツの事は親が決めただけだから…。


それに後から断ろうと思ってた」


怒っているほのかに申し訳なさそうに言った。


「私、勝負するから」


「え?」


「さっき、美智さんに勝負してくれって言われたの。


私、戦うもん。


これは私の意地だもん。


お兄ちゃんの止め何か聞かないから!!」


泣きながらほのかは走り出してしまった。


「ほのか!!!」


旬榎が叫んでも遅かった。