旬榎 Side…



運命だったのかもしれない。


大企業の跡取りだと生まれた時から言い聞かされた俺に何の希望もなかった。


くだらない世界…。


平和に暮らしてる連中の幸せなんかぶち壊したくなる。


そんな、迷いばかりの世界の中に君は現れてくれたんだ。


幼稚舎の頃から望んでもいないのに未来を約束されていた俺を妬む連中ばかりだった。


何も知らなかったからかも知れないただの勘違いかもしれない。


でも何の戸惑いもなく、ほのか…お前は俺に声をかけてくれた。


嬉しかった。


誇らしかった。


このくだらないと思っていた世界にも俺なんかをお兄ちゃんと言ってしたってくれる子がいたのだから…。


毎日に生きた心地がした…。


お兄ちゃんとお兄ちゃんと聞く度に嬉しかった。


でもいつか別れが来てしまう様な気がしていたんだ。


それでも、ほのかの笑顔を見ているだけで幸せだった。


少しでも見ていたいと思った。