「あの、音依璃ちゃんはどうしてこんなに監視されてるのか知ってる?」


ずっと、ほのかが気になってた事を父が理事長の音依璃に聞いてみる。


「もちろんです。


ずっと昔、この学園は荒んでいたんです。


人を傷つけ、騙し合い、助ける事も気遣う事もなかった生徒達。


それを、見かねた新しい校長がもう一度、生徒達に優しい心を取り戻させる為に、6人制と言う制度が作られたんです。


人を思いやる気持ち、仲間を信じる事、人としての優しい気持ちを思い出させる為にです。


でも三年前、坂槇 筍榎(サカマキ シュンカ)と言う男子生徒が入学しました。


彼お母様のお姉さまの子供で私と麗お兄様の従兄弟にあたる方何です。


彼が生徒会長に就任して6人制の制度が甘いと言い出して厳しくしたんです。


監視官を取り入れたのも彼です。


お父様は当然、口は挟めません。


彼はとても謎に包まれた存在で彼の姿を見た人はいないと言っても良いと思います。


私も会った事はありません。


彼は変装するのが趣味の様でこの学園のどこに潜んでいるのかは謎です。


ほのかさんも気をつけて下さいね」


音依璃は紅茶を飲みながら、どこか悲しげに話してくれた。


「坂槇 筍榎?」


ほのかはその名前に引っかかっている。