「あなたがほのかさん?」
ぞくりとする様な冷たい声が響く。
とパッと電気がついた。
ほのかは目がチカチカッして一瞬ひるんだが目を見開き声がした方を見る。
桜樺は途轍もなく眩く美しかった。
髪は白髪で艶やかで着物を崩して着ていた。
だがどこか冷たくほのかは目を逸らした。
「何でそないな顔しとりはりますの?
私はあんたはんと話がしたいねん。
もっと近くにきいや」
馬鹿にしたような声で京都弁の様な口調で手招きをした。
ほのかは逆らう事も出来ず俯いたまま壁にそって歩いた。
冷や汗が垂れる。
全ての目線がほのかに向けられ睨まれる。
永遠と続く様な長い時間。
「あんた何しとるか分かっていますの?
ただじゃ返されへんよ。
分かっとって来たんやろ?
ええやろ。話したらよろし」
冷たい桜樺の手がほのかの頬に触れた。