君にティアラ

「…はい、飲んで」

コトリ、と小さな音を立ててカップがあたしの方に置かれた。

甘い匂い。

褐色のココア。

「熱いから気を付けて飲みな」

ポン。

また頭に置かれる掌。

ジンワリ伝わる温もりに、何となく安心する。

優しい瞳。

ねぇ、こんな人いままでいなかったよ。

一緒にいると、気持ちがホコってあったかくなる。

ココアを飲みながらあたしは大宮健吾を見上げた。