君にティアラ

あたしは鞄を強く抱き締めて唇を噛み締めた。

ジワ、と視界が滲むけど。

(…泣いちゃダメ)


「アンタ、健吾と別れなよ」

「っても小百合が告白すりゃ、健吾君、絶対OKするよねー」

「美人、マジ役得だしぃ」

きゃははは、と笑う声が遠くに聞こえる。