君にティアラ

「…大丈夫」

小さい声で答えることしか出来ない。

…やだ。健吾の顔が見れないよ。

もう一回、目に涙が浮かんだ。

あたしはタッパーをバックにしまい直すことでどうにか誤魔化す。

「大丈夫、ごめん、あたしきょ、う…」

もう帰るね、と続けようとしたら。

「きゃ…っ?!」

グイ、と強い何かに引っ張られる感じと一緒に身体が浮く感じがした。

(え)

ウソ。

身体が宙に浮いてる。

慌てて見上げた先には間近な健吾の顔。

もしかして。

あたし今、健吾に抱き上げられてる…?

しかも、所謂お姫様抱っこ。