「亜子ー。お客さんよー。」

一階から母が呼ぶ。

お客さん??

誰だろう。

「はーい。」


そう言って階段を降りる。


「どちら様で………」

玄関に目を向けた時
前に進んでいた足が止まる。


えっ…うそ―――…


「たっ…た、き…」

「亜子」

変わらない
私の名を呼ぶ声。

「どっ…して……」

いや、会えたのは嬉しい。

嬉しいんだけどね
まだ心の準備が………


「少し話せるか??」

「えっ!?あっうん。お母さん、ちょっと出てくるね。」

「行ってらっしゃい。」

母はそう言って
背中をポンッと叩いてくれた。