叔母さんの今度の出張先は、サンフランシスコだという。


「叔母さーん、行かないで下さい」

「あらあら千秋ちゃんには守って下さる執事が、ちゃんといるじゃない。いつかは、結婚するのよ。玲と」


結婚…如月と…?


「は…はは、そうですか…結婚しちゃうんですか。あたし。まだ17歳なのに」

「あともう1押しね。18歳になったら、正式に認められるわ」

「ひょえぇ」


叔母さんに向かってなんとも間抜けた返事をしたあたし。


「笹峰、そろそろ出るわよ。千秋ちゃんのお体が冷えてしまうわ」

「かしこまりました」


気遣いのいい優しい叔母さんに仕える、気遣いある執事…

それにしても、あたしの(一応)婚約者は…


「アンタ、家閉じこもってないで叔母さんの見送り、ちょっとでもしたらどうなの!?」


帰って早々怒鳴るあたし。やはりこんな男、あたしはご免だ。


「えー…だって俺、風邪気味だもん。看病してよ、千秋ぃ」