「千秋様、どうぞお召し上がり下さい」


クロワッサンとスープ。メインのビーフと赤ワインのソテーに、口直しのカモミールティー。

如月は細かく、分かりやすくそう伝えてくれた。


「如月は?食べないの?」


いつまでたっても、食事を口にしようとしない如月に問いかける。


「雪子様にご出発前のお食事を、お届けになってから手をつけようと思っております」

「へー…叔母さん何時出発だっけ?」

「もうすぐです、あと30分程したら…」


如月の言葉に口にスプーンを加えながら頷くあたし。


「早く叔母さんに食事あげたら?」

「ええ。そろそろ参りましょうか」


如月は、交差させていた長い足をひょいっとほどくと共に、立ち上がった。そして叔母さんの部屋へと足を進める。

あたしはというと、早めに着替えを済ませようと自分の部屋に戻った。


「如月が執事らしいのもあと何分かの内かぁ…」