さっぱり何のことか分からなかった。ただ如月に触られている髪の毛から心臓にまで、小さく鼓動が波打つのが分かる…


「仕方ないですね…思い出させてあげますよ」


そう言った如月はあたしの服の襟を避けると、そこへ静かに顔を埋めた。


「…い…っ」


鋭い痛みが走る。赤くなった首元を見た。


「あ…思い出した…てかアンタ…っ!」

「千秋、顔真っ赤。ねぇ。これで分かった?どれだけ自分が、唯なんかより俺の方が好きなんだって」

「好きじゃない!てか絆創膏!このマーク隠す」

「あーあ…素直じゃない主人を持つのは苦労するね」

「あたしはいつでも素直です!!」


腹が立った。キスマークをつけられたことよりも、如月に馬鹿にされたことよりも…


少しでも如月にときめいた自分に…