如月の声がする。

部屋に入ったあたしはすぐさま仰天した。


「うわー…シンプルだね。なんか男って言うより、執事って感じがすごく出てる」


黒と灰色に統一された部屋。壁際に掛かっている、大人っぽいスーツがとてもその部屋に合っていた。


「ベッド硬い。あたしのとは違うね。シルクじゃないし…なんだこりゃ」


ぴょんぴょんとベッドの上で飛び跳ねるあたしを見て、如月は笑っている。


「…っはぁー疲れた。久しぶりにいい運動になったよ」

「千秋、無防備だね。いくら執事だって言っても俺、男なんだけど。いいの?ベッドなんかに座って。理性利かなくなるよ」

「は?何、言ってんの…」


あたしがそう言うと如月はスッと手を伸ばし、あたしの背中を掴み、自分の方に向けると、そっと首筋に口を当てた。


「キスマークって知ってる?」


あたしは目を丸くしながら如月を見る。

そして楽しそうな如月を目の前にぶっ倒れた。