可愛いなんて滅多に言われたことのないあたし。

そいうことは、如月ではなく倉木さんに言って欲しい。


「俺着替えてくるわ。さすがにスーツのままとか、やべぇし」


そう言った如月は自分の部屋へと足を進めた。


「ねぇ、そういえばさ如月の部屋ってどんなの?」


その如月を唐突に呼び止める。

如月は振り向き、悪戯の笑みを向けると言った。


「見たい?千秋様」


少し迷ったものの、好奇心のほうが強く素直に頷く。


「じゃあ着いて来れば?…あ、そのかわり俺が着替えるまで、待ってね」

「当たり前でしょ!」


まったくなんなんだ。いつもいつもあたしをからかいやがって…と密かに悪態をつく。

そんな呑気なことを思っていられるのも、今の内だということに、あたしはまだ気づかない…


「いいよ」