「んー…なんでもいいよ。好きなものあげる。ただし千秋が勝ったらね」


一体どこからその自信は出てくるのかが分からない…


「その代わり、俺が勝ったらちゃんと千秋、告れよ。俺に。んで俺の言うこと1つ、聞いてね」

「ハイハイ。まずないから。あたしが好きなのは黒髪のやっさしー人。茶髪のアンタとは正反対」

「じゃ、黒髪にする」

「それでもあたしは負けないから。万が一負けたら…ないと思うけど、なんでもしてあげる」


あたしがそう言うと如月はしばし俯く。そして前を向いたかと思うと、口元を緩めて口を開いた。


「俺が勝ったら千秋からキスしてよ」

「えー…初めてのキス、アンタにあげるの?」

「へぇ、初めて?意外と度胸ねーんだ、千秋」

「そんな度胸欲しくない」

「もし約束破ったら俺からするからな」


如月はそれだけ言うと、教室へ向かって歩き出した。そして、自分の鞄とあたしの鞄を持って来て、リムジンの運転席に座った。