あたしの執事

「知らねーよ。つか倉木より俺の方が断然良くね?」

「そりゃ顔はね。だけど性格なんか比べ物にならないぐらい倉木さんの方がいいんだからね!」

「へぇ。そんなこと言ってられるのも、今の内だけどな」


余裕な顔で微笑む如月にたちまち嫌気を覚えるあたし。

顔もルックスも家柄もいいか…


「…やっぱり社会勉強なんじゃん。遊びだったでしょ?執事も、叔母さんに仕えてたことも」

「だから違…」

「何が違うの?そんだけいい暮らししてんなら、執事なんてやんなくたって稼げるでしょ。金、入るじゃん」

「…金以外に大事なものあるだろーが」

「それを学ぶため執事やってるんでしょ。あたしの言ったこと何か間違ってる?アンタと結婚するぐらいなら、あたし家出る」


如月と婚約だなんて、あたしにとっちゃとんでもない爆弾だ。

家を出る以前に、当然そんな物破棄しなければいけない。


「とにかくあたし、皆にさっきのは嘘だって言ってくる」