はっと我に返る。思わず倉木さんにも叫んでしまった。


「さっきの…」

「先程は助けて頂きありがとうございました!同じ学年だったんですね。クラスまで同じだなんて光栄です」

「そんな大袈裟な…」


これこそ運命だと1人で舞い上がるあたし。その瞬間だった。

スッと腕が伸びてきたかと思えば、あたしの肩を掴み取り、自分の方へと引き込む。


「はしたないですよ。千秋様。いくら先程助けて頂いたからと言って…」

「離せ!誤解が生まれる!」


あたしが喚くと、如月がとんでもないことを言い出した。


「誤解も何も千秋様と私は婚約者ではありませんか」


教室中にざわめきが起こる。

あたしは訳が分からなくなり、その場で如月を手で思い切り押し逃げ去った。


「なななななんであんな冗談、思いつくかな」


変な意味での興奮。頭はすでに限界を超している。


「冗談なんかじゃねーよ」


誰もいない廊下で見事に素をさらけ出した性悪執事。