「ううん。結構前から決まっていたの」


真剣な母に対して、空気も読まず入ってくる強い日差しが、目に刺さって痛い。


「…海外、行くの?」

「うん。そのつもり」

「あたしは?どうするの?学校だってあるんだよ」

「無責任かもしれないけど、ここへ置いていく」


本当無責任だなと、あたしは静かに悪態をついた。だが、あえて言わず心の中に留めとく。


「心配しないで。アンタの世話係は、ちゃんと決まってるんだから」


自信満々な目の前の母を矢先に、早くも不安を覚えるあたし。


「誰…?知らない人?」

「うん。千秋とは初対面になるわね。でも安心してよ。いい感じの青年だから」

「青年…?」

「あ、今言ったのは気にしないどいて!」