「はぁ」


部屋に入ったあたしは大きくため息をつき、シルクのシーツが掛かったベッドに横たわる。


「なにがいい青年なのさ。お母さんの嘘つき」


少々八つ当たりも入ってるが、事の始まりは母のせいだ。


「嘘なんかついてねーだろーが。俺、超いい青年だろ」


突然声がする。

会って何時間しか経っていないのに、もうこんなにも憎らしく感じるのは何故だろうか?


「鍵、閉めてませんよ。無用心ですね、千秋様」

「余計なお世話だっつーの。第一、これから生活を共にする奴に、無用心も用心もないでしょ?」

「分かりませんよ。私も男ですから」

「はいはい。だっからどーした」