「ここ、梓と司とよく来たんだ」


唐突にそう発した玲。


「仲いいんだね。その2人と」

「結構ね。梓も司も、俺のアレ黙っててくれた。だけど、千秋には言わなきゃいけねーって思ったんだろーな。アイツら」


『アレ』…言いたくないんだ。玲も…病気のこと。

すり傷みたいなこの病気のことを、えぐられるのが嫌なんだ…


「…治る方法ないの…?」

「不治…だしね」


泣くな…泣いちゃ駄目だ。そう自分に言い聞かせるものの、涙が出て出て止まらなくて…


「ふ…っ」

「何で俺が選ばれたかさえも分からないこの病気に、負けるのだけはヤダ。だから、千秋も泣くなよ」


切なくて、何も出来ない自分が悔しい。

玲が死ぬなんて嫌だと思っていても、成すすべの無いこの現実が歯がゆいんだ…