「そう…知っちゃったのね。千秋ちゃん」

「ええ、雪子様にはあらかじめ申し上げていたことなのですが、いざ見ず知らずの人間にそれを打ち明けるとなると、私もつらかったです」


隣の部屋から聞こえる話し声。玲が叔母さんと通話している様子だ。


「私も…出来ることがあれば、何か協力するわね。玲のお役に少しでも立てれば、光栄だわ」

「ありがとうございます」


本当につらかった。食事も手につかない日々で、そんなことして一層苦しむのは、玲の方なのに…


「では、はい。お忙しいところすみませんでした」


電話を切った玲が部屋に入ってくる。


「玲、あたしご飯食べるよ。作ってもらっていい?」

「…いいけど、千秋無理して笑顔作ってねぇ?」


図星のあたしは何も答えることが出来なく、ただ黙っていた。

玲はポンとあたしの頭に手を乗せると、立ち上がり笑ってこう言った。