「琢磨くんッ!!」 微かだけど百合亜ちゃんの声が聞こえた。 声がしたほうを見ると必死に走ってくる皆が見えた。 「来てくれたんだ。」 どこかほっとする気持ち。 「ッ…はぁ、はぁ間に合った。」 急いできたのか息を切らしている。 「大丈夫?」 膝に手をあてている百合亜ちゃんに手を差し出す。 だけど、百合亜ちゃんは僕の手をとらずに顔を上げた。 「あのね、これを渡したくて。」 そう言って渡されたのは小さな箱。