「琢磨、そろそろ行きましょ。」 「はい。」 母の言葉で立ち上がってキャリーを握る。 見送りに来てくれると言っていたけど、皆らしき人は見当たらない。 「はぁ、何期待してるんだか。」 無意識に皆を探す自分に笑えてくる。 「琢磨、どうかしたの?」 「今行くよ。」 僕がキャリーを引いて歩き出した時、