終業式は何事もなく過ぎた。
「今日は、皆に残念な話がある。五十嵐がアメリカに行くことになった。」
担任の言葉に皆が騒めく。
女子の中には泣き出す子もちらほら。私も、また涙が出そうだった。
「五十嵐。挨拶しなさい。」
担任の言葉で立ち上がり、琢磨くんが教壇の前に立つ。
「僕、五十嵐琢磨はアメリカに行きます。短い間だったけど楽しかったです。ありがとうございました。」
そうすると琢磨くんは頭を下げて、席についた。
さっきの琢磨くんの言葉が胸にしみる。
琢磨くんがアメリカに行ってしまうって嫌でも痛感する。


