中に入るとやはり校長はいなかった。



奴はソファーに座ったが私は落ち着かなくて校長室をぐるぐるしていた。



奴の横を過ぎようとした時、



ぐい 



ものすごい力で引っ張られた。



「キャッ!!」



私は引っ張られた勢いで奴の胸に落ちてしまった。



ドキッ 



もしかして私抱きしめられてる?



「ちょっちょっと、何すんのよ?」



私は奴の腕から抜け出そうとしたら今以上に抱きしめられた。



「少しはおとなしくしろ。」



ちょうど耳の辺りに奴の口があり、奴の息耳にかかり何故か顔が赤くなるのを感じた。



「いい加減離して。」



そう言いながら上を向いた瞬間。



「……ン」



口に柔らかいものが重なった。



しばらくすると苦しくなり奴の胸をたたくと気付いたのかそっと離した。



「はあはあ、な、何すんのよ?」



「ん?キス。」



「それくらい分かるわよなんでしたかって聞いてんの?」



「そんなこと言って嬉しかったくせに。」



「そんなわけないじゃない。」



私がむきになって言うと



「そんな顔で言われても説得力ないから。」



奴の言うとおり、鏡を見なくたって自分の顔が真っ赤なのはわかる。



「お前に出す命令は終わり。」



「へっ?」



「私に気を遣っているの?」



私がそんなことを聞くと思わなかったのか少し驚いている。