私はそんな彼女の背中を見つめることしかできなかった。 ただ、彼女を叩いた右の手がじーんとしていた。 力が抜けたようにまた椅子に腰を下ろした。 「私、なにやってるんだろう。」 上を見上げると天使の絵が目に入る。 天使は優しい笑顔を浮かべている。 「そろそろ行かなきゃ。」 椅子から立ち上がった時、入口からバタバタと走ってくる音が聞こえた。 「百合亜!!」 「百合亜ちゃん!!」 走ってきたのは、美吏那と琢磨だった。