私は王子の手を離した。 「わたくし、帰らなければ。」 それだけ言うとホールを駆け出した。 「待ってください。姫!」 王子が追い掛けてくるのがわかったけど、私は後ろを振り返ることなく走り続けた。 お城を出るとき後ろから声が聞こえた。 「必ず、必ず貴女を見つけ出します。」 王子……――。 私は込み上げてくる気持ちを抑えお城を跡にした。