トントン。



「…どうぞ。」



校長の声を聞き私はドアを開けた。



「失礼致します。遅れて申し訳ありません。」



「いいのよ。プリンセス。今日ここへきてもらったのはあなたに紹介しなくてはいけない人がいるの。」



「紹介したい人といいますと?」



私の質問に校長は笑って答えた。



「プリンスが決まったのよ。」



そう言う校長はどうか嬉しそうだった。



私は校長の言葉を聞き戸惑ってしまった。



「校長、プリンスの方はどこに?」



「あちらの部屋にいるわ。優斗さん。」



優斗と呼ばれる人が隣の部屋から出てきた。



出てきた優斗という人は、背が高くスラッとしていて顔も整っていて、モデル並にかっこいい。



私は彼を見ていると、彼も私を見て笑ってきた。



「プリンセス、こちらが城東 優斗(キトウ ユウト)さん。そして、プリンスよ。」


「初めまして。城東優斗です。聞いていた通り可愛らしい方ですね。」



城東優斗はそういうとニコッと笑ってきた。



私は挨拶をすることも忘れて彼の顔を見つめていた。


「…プリンセス?」



校長の言葉で私は我に戻った。



もしかして、私見惚れてた?



「い、いえ。申し遅れました。二階堂百合亜です。」


私は慌てて挨拶をした。



「2人ともお分かりだと思うけど、この学園のプリンセスとプリンスには掟があるの。それは…」



「プリンスとプリンセスは婚約をしなきゃいけない。」



校長の言葉を遮るように優斗が言った。



「プリンスのいう通りよ。しかし、これは絶対ってわけじゃないの。1年後のクリスマスまで2人が別の誰かを好きになった場合はなしになるわ。」



知らなかった。



「まあ話はそれだけよ。2人で話したいこともあると思うわ。ここを使うといいわ。」



それだけいうと、校長は隣の部屋に行ってしまった。