「うそ。」
そう言った茉莉香さんはいつもの柔らかい声じゃなくて、冷たい声だった。
「なんで嘘なの?」
私が尋ねると茉莉香さんは鼻で笑った。
その顔に体がゾクッとした。
「バカしてる?さっき見たのよ。2人が抱き合ってんの。」
「えっ……」
茉莉香さんの言葉で頭が真っ白になった。
「優斗は、優斗は絶対あなたには渡さない!!」
そう叫んだ彼女の顔は必死だった。
茉莉香さんは優斗に本気なんだ。彼女の顔を見てそう思った。
「私は優斗のことなんとも…」
「まだしらばっくれるの?…いいわ、あなたに後悔させてあげる。後で泣いてもしらないから。」
その言葉だけ残すと茉莉香さんは教室をでていった。


