店を出ると優斗はタクシーを止めた。
私はその光景をただ見ていると、優斗がこっちに顔を向けた。
「そこで突っ立ってると置いてくぞ。」
タクシーに乗り込んだ優斗を見ると私も慌ててタクシーに乗り込んだ。
「ね?何処行くの?」
「……お前に話あんだよ。だから、特別な場所。」
優斗はこちらを見ずに答えた。
特別な場所……。
それに話って。
もしかしたら茉莉香さんのことを言うのかも。
そう思うと涙が出そう。
私ってこんなに涙もろかったっけ?
最近よく泣くなぁー。
そっと優斗を見ると目を綴じていた。
寝ているのか、ただつぶっているのか分からない。
しょうがないから私は窓の外の景色を見た。
そのうち、だんだん見覚えのある道を進んでいた。
もしかして…。
私はまた優斗を見た。


