クールダウンも終わり、水原にも声をかけて公園を出た。
 
 
「遥斗スゴかったわ。後ろから見てて感動したもん」
 
「アホか。全然ボールも速くないし、あんなんじゃエースとか程遠いわ」
 
 
 水原が遥斗を褒めたが、彼は照れたようにしながら否定した。
 
 
「あっ」
 
「どうした?」
 
 
 しばらく歩いていると、不意に遥斗が立ち止まった。つられて、宗と水原も立ち止まる。
 
 
「ユニフォーム……どうしよ」
 
「ユニフォーム? 明日の練習で使うやつ?」
 
 
 宗の言葉に遥斗が頷く。中学時代は帰宅部で、野球部に入ることも昨日決めたくらいなので仕方のないことではあるが、あまりにも初歩的な質問に宗は呆れた。
 
 しかし、それを遥斗に言ったところで得することはないので、何かないかと考える。思い浮かんだのは、宗自身のユニフォームだった。
 
 宗が中学時代の前半に使っていたユニフォームなら余っているし、比較的小柄な遥斗ならそれを着ることもできるだろう。そのことを伝えると、遥斗はホッとしたような顔をして、宗に頭を軽く下げた。