「ポジションは？」
　
「俺のけ？　そういやお前も野球部やったな。それにしてもせっかちやな、お前。どうせ入部者挨拶で分かるやろ」
　
「今、知りたい」
　
　
　遥斗の言葉に、安藤はわざとらしくため息をついた。しかし、遥斗はどうしても早く知りたいのだ。
　
　ピッチャーとかなら最悪だが、幸いにも奴は体ががっしりしている。キャッチャーである可能性は高い。
　
　
「しゃあないな、教えたるわ。ピッチャーやピッチャー」
　
「なっ……お前もピッチャーなんか……」
　
「お前もって」そう言って、安藤は遥斗の体をじっくりと見た。「お前もピッチャーなんけ？」
　
「悪いか」
　
「悪かねえけど……お前ヒョロイからな」
　
　
　それに対して、遥斗は何も言い返せない。体が細い投手はたくさんいるが、やはりがっしりしている方が良い。
　
　しかし、黙りこんだ遥斗をフォローするかのように後ろから声が聞こえた。
　
　
「遥斗は体細いけど、力も少しはあるし。体力はお前よりもあるで」
　
「えっと、ヨシヤマやっけ。何を根拠に俺がこいつに負けるって言ってんねん」
　
「俺は吉田。で、その質問の答えは直勘。お前、体力無さそうやし」