「じゃあ次がラストだな。安藤、頼む」
 
 
 さすがに、今回はやらなければいけないと安藤が思ったのか遥斗には分からなかったが、安藤は文句を言うことなく教壇に向かった。先ほどのことがあったため、遥斗は安藤を少し睨みつけたが、安藤は気にする様子もなく自己紹介を始めた。
 
 
「三笠中学出身。とりあえず硬式野球部に入ろうと思っ……」
 
「は!?」
 
 
 安藤の言葉に、遥斗は大きな声を出してしまった。安藤が怪訝そうな顔をする。
 
 
「人には色々というくせに、自分は人の自己紹介中断させるんやな」
 
「うっ……そ、そんなことより硬式野球部に入るってどういうことや」
 
「どういうことも何も……そのままの意味やけど」
 
 
 こんな奴と2年間半も一緒に野球をしなければいけないのか。しかし、遥斗には安藤を野球部に入れさせないことなどできない。そもそも、そんなエゴが通用するわけがないのだ。
 
 とりあえず遥斗は心を落ち着かせた。安藤はがっしりしている。奴がキャッチャーならいい。どうせ宗には負けるだろうし、バッテリーを組むことなどないだろうからだ。