「どうやったん。部活見学って」
　
　
　行きと同じメンバーで帰っているとき、光が聞いてきたので、神山遥斗は少し考えてから答えた。
　
　
「うーん……。もっと暑苦しいと思ってたんやけどな。良い意味で、思ってた感じと違った」
　
「だよな。えーと……何ていったっけ……そう、カワキタさんや。あの人はおもしろかった」
　
　
　遥斗の言葉に吉田宗も同意する。遥斗は、今日話しかけてきた先輩部員の名前など覚えていなかったが、記憶力が凄い宗は覚えていたらしい。
　
　遥斗が、そのカワキタという人物について覚えていたのは、ゴツいということだけだった。
　
　
「光はどうやった？　一応吹奏楽部の見学に行ったんやろ」
　
「普通に良かったんやけど……やっぱり野球部のマネージャーやると思う」
　
「マネージャーか……中学のときはおらんかったから、なんか変な感じするな」
　
　
　中学で野球部に参加していなかった遥斗は、詳しいことを知らなかったため、マネージャーがいると思っていた。しかし、宗によると中学でマネージャーという存在はいなかったみたいだった。