「あぁ疲れたぁ…」
神谷の隣の椅子に崩れるように座った。



「びっくりした」

「何がだ?」
隣を見ると案外近くて、声が裏返りそうになった。
みっともないぞ自分。



「だって、変わり過ぎでしょ」

「どうだ?俺もカメレオンだったんだぞ」



どちらからともなく、笑いだした。




「私には負けるけどね」

「そりゃそうだ。お前の場合カメレオンを越えてるもん」

「確かに」


また二人でクスクス笑う。




それだけで、たったそれだけですごく幸せだった。
ささやかな幸せ。



こんなに近くにいて、隣で笑ってくれて…それだけで嬉しかった。