嵐はリレーの出場の為、入場門へと移動し、私たちは席に戻った。


「昨日、彼女と会ってたんだね」

「何で誕生日の今日に会わないんだろうね」


不思議な二人。


「彼女の家、厳しそうだしね」

「ホント」



何も知らないくせに、見た目の憶測で判断した。



「…ってか、私、性格悪くなってるよ」



思わず俯いて、膝を抱えた。



「知ってるよ」


千里が笑って背中を叩き、私はムッとして千里を見上げた。


「いい子ちゃんは嫌いなの」

「それ、褒めてないし」

「何?褒めて欲しいの?」

「千里、性格悪い」

「だから友達なんじゃん」

「はぁ…」

「ほらほら!嵐が入場するよ」




嵐…私は貴方を見つけることが、こんなに簡単にできてしまうよ。
貴方から私は見える?

いつも、貴方からも見える場所で、貴方を見てきたの…分かる?



背中に華を背負って、いつも誇らしげに歩く貴方は、本当に私の呼吸そのものになっていた。
いつの間にかこんなに好きで、でも、寄り添えなくて、泣きたくなる。