積み重なる想いは、捌け口を求めてうごめいている。

いっそ、砕けてしまおうか。

いっそ、

壊してしまおうか…。


馬鹿な考えが何度も真ん中を擦り、爆発しそうだった。


「でも、キレイすぎて怖いんだよ」

「え?」


車のライトで見え隠れする嵐の横顔を、斜め上に見た。


「何言ってんだ俺」


照れたような、驚いたような、そんな笑顔を私に見せて、また前を向いた。


「嵐…怖いって…」

「いや…変な意味じゃねぇんだ…」


話したくないなら、無理には聞かない。

だけど何かあるのなら、言って楽になるなら、話して欲しかった。


「嵐…私には何もできないけど、何かあるなら言ってね」

「おう…また頼むよ」


暫く無言で歩いたら、駅はすぐ其処になり、切符売場で切符を買って、電車の時間まで駅前で嵐と過ごした。


降りてくる人たちを意味なく眺めては、ゆるりと流れる時間に心地よさを感じて、嵐との距離感を胸に刻んだ。


「何だか楽しかった」

私が笑って言うと、


「俺も」


嵐も笑って言った。


「じゃあまた明日ね」

「おう!!気をつけろよ」


嵐に見送られてホームへ上がった。