翌日も、文化祭の準備で放課後は賑わった。

ポスターの原案が白い紙に浮かんでいく。

「どうして告白しないの?」

千里は昨日の続きのつもり。

私は突然で、一瞬、頭が真っ白になった。


「私が告白しても、嵐は私を好きにならないよ」

「そんなの分からないじゃない」

「うーん…告白する勇気なんて、私にはないんだよ」

「…馬鹿ね」

「馬鹿…だよね」




あり得ないことを想像で話す。

現実に戻ってく思考が、想像していた自分を追い詰めていく…。


きっと私はこれからも、いつまでも友達のフリして、本当の気持ちから逃げる。

果てしなく遠い、ずっとずっと先の『終わり』を、自分の感覚にできないまま。


「トイレ行ってくる」

「ん」


千里からも逃げたのかな私は。


トイレで用を足すわけでもなく、鏡で髪を直す。

奥から水の流れる音がして、ガチャッと鍵が開いた。


「雨宮さんも準備?」

声の主は崎山さんだった。


「うん。準備」


蛇口から水を出して、手を洗う姿さえ、麗しく品がある彼女。

嵐が好きになるわけだ。


「崎山さんて綺麗だね」

驚きと照れが混ざって、可笑しな顔で笑った『彼女』