パンを選び、ジュースを迷っていたら、嵐が隣に来て同じように悩み出した。


「どれが美味い?」

「個人の好みあるじゃん」

「お前どれ好き?」




『嵐が好き』




なんて、言えたらどんなに楽だろう。

横目で嵐を眺めた。


「無視かよ」

「買ってくれるの?」

「はぁ?」



眉間に皺を寄せる嵐の手に、選んだジュースをポンと置いた。

「お前って女は…」

「何?パンも買ってくれるの?ありがとう」

「おい…」



嵐をレジに誘導し、ちゃっかり奢ってもらった。

「ありがとう」

「こんな時だけ素直かよ」

既にレジを済ませていた千里の元へ向かい、パンを頬張った。

「嵐って、美月のことどう思ってるのかな」

「どうって…友達じゃん」

「…そう」

「何?」

「別に。ふと思っただけ」


コンビニでお腹を満たし、駅まで歩くことにした。


少し前を嵐たちが歩いている。


「彼女がいなかったら告白してた?」

千里が、嵐を見ながら言った。


「してない…かな」


嵐に彼女がいなくても、私はきっと、友達でいるしかできなかっただろう。