わたし、どうやらいじめっこの恐怖より黒い猫たちの興味のほうが強くなってしまったみたいなの!


それからも毎日いじめっこを待ち伏せしたのよ。


あの藪の中に隠れてね。


・・・そうしたら・・・


・・・やっぱり、黒い猫は増えていたの!


どんどん、いじめっこのうしろに増えてゆくのよ!


わたしね、てっきり黒い猫は1日に1匹ずつ増えていくのかと思っていたのね?


でも、黒い猫は1匹ずつ増えていくんじゃなかったの。


時には1匹じゃなくて、いきなり5匹も増えたりする日もあったのよ!


・・・しかも、やっぱり同じ黒い猫だけなの・・・?


なぜだか、いつも黒い猫だけ増えていくのよ・・・?


・・・どうしてなんだろう・・・?


・・・どうしてだと思う・・・?


・・・解らないよね・・・?


・・・ごめんね、変なこと聞いて話を戻すね。


それから、いじめっこの後ろには全部で68匹の黒い猫がいるの!

わたし数えたのよ、一生懸命にね。

いじめっこに気づかれないように注意しながら、帰り道の途中でね。

いじめっこのうしろを歩いている、大勢の黒い猫を1匹ずつね。

何度も、何度も数え直してね!

だから間違いなく、黒い猫は68匹いるのよ。


そうして、いじめっこが家に入ると、いつものように68匹の黒い猫たちは、
同時に、わたしの方を見て、「にゃー」と鳴くの。


・・・あのね、想像してみてくれる・・・?


68匹もの、黒い猫が同じ動きで同じタイミングで一斉に、「にゃー」と鳴くんだよ!


・・・すごいでしょ?・・・すごいよねー!


それから、68匹の黒い猫たちは一斉に走り去っていくのよ。


今度は、来た道に戻るんじゃなくて、みんなバラバラに散っていったわ?