うしろの猫

わたし、いまが逃げ出すチャンスだと思って立ち上がったわ。

全身を蹴られて体中が痛かったけど、我慢して立ち上がったの。

落ちている自分のカバンを拾って、すぐに逃げようとしたのよ・・・

でも・・・でもね・・・

全く動かなくなった、いじめっこの事が気になってしまったの・・・?


だって・・・いやじゃない・・・?

自業自得とはいえ、死んじゃったら後味悪いでしょ・・・?


だから、倒れて動かなくなった、いじめっこの様子を見てみたの・・・?


するとね!突然いじめっこが「う・・うぅぅぅん」て、気がついたのよ!


わたし、慌ててその場から逃げ出した!思いっきり走って逃げ出したの!


体中が痛かったけど、我慢して走ったわ。

いじめっこが追いかけてくるかもと思い、後ろも見ずに・・・


・・・ひたすら走って・・・


・・・逃げだしたの・・・


・・・無我夢中で・・・


・・・逃げたの・・・


そしてやっと、人通りの多い道に出てから後ろを見てみたわ。

いじめっこは、追いかけてこなかった。

わたし、走るのをやめて息をととのえようと、ゆっくり歩いて、

それから、考えてみたのね。

あの赤い猫は、どこから来たのか?どうして、体の無い猫のはずなのに

いじめっこに飛びつくことができたのかなどとね?



・・・もしかしたら・・・

・・・あの赤い猫は、わたしから生まれたんじゃないのかと思ったのよ?


わたしが泣くのをやめて、いじめっこを睨みつけた時に、あの赤い猫は
現れたから・・・


・・・そして、いじめっこに向かって飛びついた・・・


・・・あの赤い猫は、わたし・・・


・・・わたしの想い・・・


そんなことを、考えて歩いていたらね。

また突然、わたしの携帯が鳴ったのよ!

かけてきたのは、お母さんからで、わたしが出なかったから、またかけてきみたい。