「ハァ、ハァ、ハァッ…」




肩で大きく息をしながら
私はずぶぬれの身体を
シュトリに引き上げられた。




「…大丈夫ですか、詩織」





不安そうに顔を覗き込んでくるシュトリ。






状況がつかみ切れていないために
まだ少し動揺している。




だけどケガはしてない。



「…う、ん。大丈夫だよ。



…それより、何が起きたの…?」




「…あのあとガープは
あの門と一緒に封印されるはずでした。


しかしその瞬間、
ガープがわずかなスキを狙って
あなたを道連れにしようとした…」





「…そ、うだったんだ…」



あの時つかまれたような感じは、
ガープの腕だったんだ…。




「…でも、あの時一瞬誰かが
引き上げてくれた気がしたんだけど」




その言葉に、シュトリは苦笑する。




「…なるほどね。

アイツも素直じゃない」




「?何か言った?」




「いいえ。

思ったより苦労するな、と思いまして」



…誰が?




私の首をかしげる動作に
シュトリは笑ったままだった。






『……』