恋と友情

「まぁ落ち着け、勇貴。俺まで注目の的になるのはゴメンだ」


「貴様のせいだろーがッ」


今度は小声で怒鳴る。
それでも聖はポーカーフェイスを崩さない。


「お前、西沢友希子をフッたんだって?」


「何で聖がそんなこと知ってんだよ」


「校内ではもっぱらの噂だ。知らないのは大橋勇貴くらいだろう」


確かに友希子は美人で派手なので目立つ存在ではある。その彼女をふったとなれば、噂になるのも頷ける。


だがそれにしても…全校に知れ渡っているというのは…


(すごすぎる…てゆーか、噂回るの早すぎ…)


どうやら我が泉宮高校にはおしゃべりな奴が多いらしい。
友希子がハライセに言いふらしたのかもしれない。


「西沢をフッたってことは、やっと紫織ちゃんに告白する気になったんだな?」


勇貴は痛いところを突かれてドキッとした。


「ま…まぁ…そのうち」


「お前いつまでもそうやってる気か?告白する気なんかハナからないんじゃねーの?大橋勇貴がこんなに女々しい奴だって知ったら、お前の親衛隊は泣くぞ」


「余計なお世話だぃ。お前の将来は『仲人大好きおじさん』でキマリだ。それしか考えられない」