(明らかに対象外だと思われてる…?)


なんて内心ショックを受けつつ、封筒を裏返す。


なるほど、そこには『2年3組 春日なみ』と書かれている。


「けどー…勇貴くんて本当にもてるよね。彼女なんてよりどりみどりだって、一ノ瀬くんがいつも言ってる」


「いやいやっ、もててないよ。マジで!絶対に…それは、断じてない!―俺には…俺には…」


大袈裟に首を左右に振って勇貴は取り乱した。


「?…どうしたの?そんなに強く否定しなくたっていいのに…」


勇貴は眉根を寄せた。


(よりどりみどりだと…?)


一ノ瀬というのは、一応、勇貴の親友で、フルネームは一ノ瀬聖(イチノセ・ヒジリ)。趣味は勇貴をいじめること…かもしれない。


その証拠に勇貴の恋に少しも手助けしてくれない。逆に水をさすようなことばかりしでかしてくれる。


「水城。この際はっきり言っておくけど、聖の言うことって80%はでたらめだから、あいつの言葉に惑わされちゃ駄目だよ。もちろん、よりどりみどりの件もね」


「あらどうしてそんなに悪く言うの?一ノ瀬くんとは親友でしょ」


紫織が軽く首をかしげる。