「なーんちゃって♪」
意識を失った青年をにやにや眺めながら、
メガネが意地悪く光った。
「盲腸手術するのに、腎臓投げ出す馬鹿がここにいるよ……
まったく、本当に面白い奴だよな。
だから、助けたくなっちまうんだよ……」
横で、ヤヴァイさんが同じく「ヤレヤレ」と肩をすくめていた。
「ありゃま、軽くからかったつもりだったのに、
こいつホントに泣いてら……」
「何ィ? 見カケニヨラズ、チキンダネ!」
「んー、まあかなり楽しませて貰えたし、手術代チャラにすれば許してくれるだろ」
「ソウネ」
「では、これより炎症を起こした盲腸の摘出手術を開始します。
……と、いうわけで、後は『奇跡の医師』ヤヴァイ・テンサーイ先生、
お馬鹿で可愛い友人を、よろしくお願いします……」
「了解ヨ!」



