「すいませーん。人身事故の為、普通列車が二時間遅れます。大変申し訳ありませーん。」
駅員さんの大きな声がホーム内に響き渡っていた。
(何だって!?美保に帰る時間言ったのに!)
正は心の中で叫んでいた。正は時間にうるさくて、ルーズな人が嫌いになる性質を持っている。美保と結婚してからは、ますます時間を気にして、仕事帰りの帰るコールは欠かしたことはなかった。そして、家庭内の言い争いには、必ずといって言いほど『時間』が関連していた。